uro3000’s blog

宜しくお願い致します。

天親菩薩

天親菩薩の教え

 「天親菩薩造論説」~「入生死園示応化」までは天親菩薩のご功績について示される一段です。
 天親菩薩は非常に多くのご著作(論)を撰述されたことから「千部の論主」とも称されます。そのご著作は後に誕生するさまざまな宗派に影響を与えられました。その中、浄土真宗を開かれた親鸞聖人は、『無量寿経優婆提舎願生偈』(『浄土論』)を重要視されていきました。従ってここで「造論説」という「論」は『浄土論』のことを指しています。

  また、親鸞聖人は主著『教行信証』「信文類」の序文でこの『浄土論』のことを「一心の華文」と讃えられています。天親菩薩は『浄土論』の冒頭において、

「世尊我一心 帰命尽十方 無碍光如来 願生安楽国(世尊、われ一心に尽十方無礙光如来に帰命したてまつりて、安楽国に生ぜんと願ず)」(『七祖篇註釈版』29頁)
 と、阿弥陀さまへの帰依のおこころを吐露されています。口語訳すれば、「お釈迦さま、わたしは一心に阿弥陀さまに帰命しまして、そのお浄土に生まれたいと思います」といった意でしょう。この中に「一心」というお言葉が出てまいります。
 そもそも、私たちはどのようにしてお浄土に生まれていくのか。それは『大経』に説かれた第十八願に示されています。そこでは「至心信楽欲生我国」すなわち「心をいたし」「信楽して」「我が国(お浄土)に生まれたいと欲う」と誓われているのですが、われわれ凡夫にとっては「至心」や「信楽」「欲生」といわれても、どのような心なのか、どのようにすればおきる心なのか、なかなか迷ってしまいます。そこで天親菩薩は、われわれにこれらの心を分かりやすく「一心」と示されているのです。つまり、『大経』では一見、「至心」「信楽」「欲生」と三つの心をおこすことが説いてあるように見えますが、実はこれらの心は「信心」の「一心」のことを説いているのだと示してくださっているのが『浄土論』です。そこで親鸞聖人は『浄土論』を「一心の華文」と表現し、いま『正信偈』で「為度群生彰一心」と讃えられています。