りんじゅうらいこう／臨終来迎
念仏者の臨終には、弥陀三尊や聖衆が来迎して正念に導き浄土に引接いんじょうすること。『無量寿経』の第十九願に基づく。『阿弥陀経』には、「阿弥陀仏を説くを聞きて、名号を執持すること、もしは一日、…もしは七日、一心不乱なれば、その人命終の時に臨んで、阿弥陀仏、諸もろの聖衆とともに、現にその前に在まします。この人終る時、心顚倒てんどうせず、すなわち阿弥陀仏の極楽国土に往生することを得」（聖典一・三一八～九／浄全一・五四）と説かれている。また『無量寿経』下の三輩段および『観経』の九品段にも臨終来迎が説かれている。法然は『逆修説法』一七いちしち日において「しかれば臨終正念なるが故に来迎したまうにはあらず、来迎したまうが故に臨終正念なりという義明あきらかなり」（昭法全二三四）、「来迎引接は魔障を対治せんが為なり」（昭法全二三五）と述べ、阿弥陀仏の来迎は、衆生を正念に導くためであることを明らかにしている。阿弥陀仏の来迎は、臨終時に迷いを生じたり、魔の妨げを受ける凡夫を済度するためになされるというのが法然の理解である。
